「Fractal Design Pop Silent 」レビュー:シンプルで使いやすい新型ケース

2022年9月16日金曜日

PCパーツ 自作PC

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 スウェーデンのPCパーツメーカー「Fractal Design」から、新型PCケースのPopシリーズが発売されました。今回はその中の「Pop Silent」を購入したので実際に制作しながらレビューをしていきます。



基本スペック

ケースタイプミドルタワー
対応マザーボードMini-ITX,Micro-ATX,ATX
ケースサイズ473.5 x 215 x 454 mm
最大GPUサイズ380mm
最大CPUクーラーサイズ170mm
拡張ドライブベイ2.5インチ×2、3.5インチ×2
前面I/OUSB3.0×2、ヘッドホン、イヤホンジャック
USB3.1 Type-C(別売り)
フロントファン 120mmファン×2
リアファン120mmファン×1
サイドパネル3mm強化ガラス
重量約7.3キロ
保証2年間

PCケースとしてはスタンダードなサイズ。「Pop Silent」静音重視のため天井は防音パッドが敷かれており、ファンなどはつけられないので簡易水冷を導入する方は注意しましょう。

前面インターフェースはオプションパーツを購入することでUSB3.1 Type-Cを取り付けられるようです。

初めから120mmファンが3つ搭載されているのでお得な感じがします。

外観

ダンボールを開封してみる

Joshinウェブにて12900円で購入。かなり大きな箱で届きました。


シンプルなデザインでいい感じです。
フタを開けると早速お目見え。緩衝材も十分で安心できますね。

I/Oパネルの上にはPop Seriesの文字が。

取り出してみた

ビニールに包まれた「Pop Silent」。今回はホワイトモデルを注文しましたが、かなり白いです。最近流行りの白いパーツを使った構成をするとかっこよく仕上がりそうです。
ちなみに 「Pop Silent」のブラックモデルはサイドパネルがスチール製で真っ黒になっています。中身が見えないほうがいいという人や、ビジネス向けPCを作成する場合はブラックがおすすめです。

謎の汚れ

初期不良なのか、検品ミスかは不明ですが、フロントパネルの小物入れを隠すフタに黒い汚れが付着していました。消しゴムで軽くこすると消えたので問題はないです。

中身をチェック

ケース内部

ガラスパネルを開けたところ。真っ白の内装に、Fractal Design純正の120mmファンがフロントに2つ、リアに1つの計3つ配置されています。


電源周り

Fractal Design特有の幾何学的意匠をあしらった電源スペースの手前にはさりげなくロゴが書かれています。渋いですね。

フロントファン

前面パネルは閉め切られており、裏側に吸音材が貼られています。吸気はケースの右側からするタイプです。
付属の120mmファンから140mmファンに取り替え可能ですが、寸法的に3つは入りません。

リアファンと天井

ファンのケーブルも白に統一されていて綺麗です。
「Pop Silent」は文字通り静音を重視したモデルのため、天井とサイドパネルの内側に防音パッドが敷かれています。厚みは5mm程度でケース内のノイズを吸収してくれそうです。


裏側

右側のスチールパネルを開くと裏配線スペースが。Define7 compactR6など、Fractal Designのケースは配線がしやすいように作られている物が多いですが、このモデルも例に漏れず作りやすいケースに見えました。
右側真ん中には2.5インチのドライブマウントが2つあり、ケース下部には3.5インチのマウントが同じく2つあります。HDDやSSDの拡張性も十分ありそうです。
フロントの通気口は左側のメッシュの穴からのみで、正面は密閉されているため静音性が期待できそうです。エアフローを重視する方は正面パネルがメッシュ素材の「Pop Air」がよいと思います。

電源フィルター

電源ファンにホコリが入らないように取り外し可能なフィルターが付いていました。メンテナンスがしやすいつくりになっていますね。

正面

実際に机の下に置いてみました。
正面はパネルによって完全に塞がれていて、かなりシンプルなデザインです。
Define7のようなヘアライン処理もないため塗り壁のような見た目になっています。
下側には取り外し可能なフタがついており、外すことで5.25インチベイにアクセスできるようになります。

フタを外したところ。
Fractal Design印の小物入れが初期装備でついています。
使っていないスロットは5.25インチベイとして使用できるので、DVDドライブを取り付けたり、もう一つ小物入れを追加できそうです。
最近は5.25インチベイを装備しないPCケースも増えてきていますが、なんやかんや未だに使うことが多いのでありがたい機能です。

小物入れには使わないパーツをしまっておきました。

組み立て中…

配線の取り回しがしやすい

AntecのNE750電源を取り付けたところ。
下側にあるケーブルを入れるスペースは十分で、初心者でも取り回しはしやすいように思いました。今回の組み立てはSATA接続のHDDを使わなかったのもあり、かなり余裕がありました。
SATA接続のHDDは下のスペースにあるので、全て使うと少し窮屈になるかもしれません。
ともあれ使いやすい部類だと思います。

マザーボードなどを取り付けてコネクタを接続しました。
ネジ穴の精度もよく、引っ掛かりやネジを潰すようなことはありませんでした。
今回は手持ちの結束バンド(白色)でケーブルをまとめましたが、ケースに何本か付属しているので持ってない方も綺麗にまとめられます。

付属のネジなど

完成

特にトラブルも発生することなく、キレイに仕上がりました。
裏に配線を回せるので見た目がシンプルになり、エアフローも良さそうです。
今回は手持ちのGTX1060を使いましたが、最近出てきている白いグラボなどを使うとさらに統一感が出て、魅せるPCができると思います。

気になる静音性は?

このPCケースは「Pop silent」。文字通り静音性を重視したモデルです。
シリーズの「Pop Air」とは異なり、天板や正面パネルに吸音材を貼り、音が漏れないよう密閉しています。
どれくらい静かなのか、動作音をチェックしてみました。

動作環境
室温25度
CPU:Ryzen5 5600X
クーラー:Deepcool AK400
GPU:1060 6GB
電源:Antec NE750
マザーボード:ASUS TUF B550
SSD:WesternDigital WD_BLACK


アイドル時



OCCT Linpack 2019 実行時



流体軸受を使用したDeepcool AK400の作動音が静かなのもあって、ほとんどノイズがありませんでした。日中は動作しているかもわからないレベルです。
ファンはASUSのBIOS「Q-fan control」でCPU温度が60度以上になったら徐々に回転数を上げていく設定にしていますが、負荷の軽い作業をしていると滅多に行くことがないので快適に使用できています。

気になった点

ここまでメリットばかり書いてきましたが、いくつか気になった点があったので記しておきます。

ケース内の温度が少し高い

アイドル時の内部温度を測れるツール、HWMonitorでCPU温度を調べるとアイドル時にしては若干高いように思いました。

GPUの温度についても同様で、50度前後で推移しているためケース内の温度が50度前後になっていると思われます。


静音性と冷却性は表裏一体の関係であるため仕方ないのですが、ハイエンドCPUや3080などの爆熱構成にする場合は注意が必要かもしれません。
筆者のPC構成は発熱が少ないので問題なかったです。

簡易水冷の取り付け位置が少ない

「Pop Silent」は静音対策として天井パネルの裏側に吸音材が取り付けられていて、上にパーツなどを取り付けることはできません。


もし240mmの簡易水冷を取り付ける場合は必然的にフロントパネル一択となってしまうので、レイアウトを気にする人は注意しましょう。

設置位置に注意

外観のコーナーでも触れましたが、このケースの吸気口はフロント右側のメッシュ部分のみなので、置き場所には気をつけましょう。右側を壁にピッタリ置いてしまうと吸気が確保できずに窒息してしまいますからね。

総合評価

メリット

・初心者でも作りやすく、ユーザーに配慮した設計
高い静音性
・シンプルで魅力的な外観
・5.25インチベイに対応
同社のDefine7より若干安い(13000¥~)

デメリット

・ケース温度が比較的高め
・簡易水冷の置き場所が少ない
・置き場所を選ぶ

まとめ

いくつかデメリットも有りましたが、総合的に使いやすいケースだと思います。
「Pop Series」は6月発売の新商品ですが、エアフローやサイズなど様々なバリエーション展開で20種類が同時発売されました。Fractal Designの新しい主力製品としての意気込みが感じられるモデルですね。
同社の売れ筋Define7 compactR6の他にレギュラー製品として食い込んで行くのではないでしょうか。
また、同社が展開している他の製品より若干価格が抑えられているのもポイントです。
数千円安いだけで他のパーツをグレードアップできるので自作PCを作る人間からするとありがたいです。
最後まで読んでくださりありがとうございました!


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